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書籍・雑誌

2017年4月 1日 (土)

ブロードウェイの戦車(矢作俊彦/司城志朗)

この二人がどういう書きかたをしておられるのかはわかりませんが、たぶんそれぞれがパートを決めて書いて、それを持ち寄ってお互いの文章に補足しあっているのではなかろうか? と想像しております。はっきり「矢作節」を感じられる部分と、そうじゃないところがあるから。

共著第一作目の「暗闇にノーサイド」もそうでしたが、手塚治虫漫画でシリアスなシーンで引き出しからママーが出てくるような、そういう「緊張と緩和」というか、妙な間の取りかたが心地よい娯楽作品だと思います。入念過ぎてさっぱりわからない状況説明も、わからないなりに勝手に想像できて面白いですし、わかりやすい情景説明に滑稽さがあって気持ちよくクスクス笑えます。

クライマックスまで延々引っ張って、盛り上がってからパーッとあっけなく終盤を迎える展開(実はまだ半分しか読んでいませんが)が想像できて、あー、矢作さんはやっぱり映画が作りたいんだろうな~と、いつも思うのでした。

2017年3月 8日 (水)

THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ②

何度読んでも、いつ読んでも、どこを開いて読んでも面白い矢作俊彦さんの本の中で、まちがいなく1位か2位かという「THE WRONG GOODBYE ロング・グッドバイ」を、久しぶりに最初から通してちゃんと読みました。

「二村がなぜビリーにそんなに興味を惹かれたのかに説得力がない」という読者の意見(この本を読むぐらいだから、普通の人よりは矢作俊彦アレルギーはないはず)が多いですが、しっかり念入りに行数を割いて書いてあるし、その内容も僕には説得力がありました。と前から思っていたし、今回も「ちゃんと書いてあるじゃん。何でわからないのかな? 読解力がないのか?」と腹が立ちました。あるいは、僕みたいな変人(作者の矢作さん含む)には説得力があるけど、多くの一般大衆はそんなことはないのでしょう。

今まではそうでもなかったけど、今回はちょっとビリーに腹が立ったというか、二村がビリーが好きではなくなった気持ちがよりわかりました。この次の話「フィルムノワール/黒色影片」の二村の優しさとは違う優しさというか、だいたい二村は名前と減らず口(と大学野球でキャッチャーだったこと)だけが同じで、毎回違う人なんじゃないかと思わないでもないですが、そんな感じがしました。

何回読んでも、矢作さんの話は、最後の終わりかたがいいですね。村上春樹さんだと読後に必ずモヤモヤしますが、矢作さんはすっきり納得できます。実は、連載時の毎回の終わりかたもいいんですけど、いよいよ本当に終わるときの〆の言葉が格好いい。おそらく、矢作さんはいつも「最後の言葉」を決めて書いていると思います。そのため(あるいは、主人公にその言葉を言わせるため)にそこまでの話を組み立てるみたいな。男ですねえ。

2017年1月18日 (水)

楽園のカンヴァス(原田マハ)

原田マハさんの本は3冊目か4冊目か忘れましたが、これまで「上手いけど」と「けど」つきの感想を持っていました。わざわざ読者への親切でそうしているのでしょうが、途中で展開が読めてしまう(予定調和的)なので、納得はできても何か波乱が足りない気がしていました。

その不満がこの本では解決しています。「そうきたか」という感じ。そして、ご本人は美術の世界が本職らしいから、絵の話は素人にもよくわかる内容にしてくださっています。相変わらずたいへん親切な作家さんです。

僕は大原美術館に数回行ったこともあり、そこで買ったのかどっかの百貨店の展覧会で買ったのか、美術展に行ったら気に入った絵の絵葉書を買うのが習慣ですが、小学生のときに初めて行った展覧会で買った(うちの一枚)が「ルソー」だったことを思い出しました。あののっぺりしているのに色がきれいな絵が、子ども心に響いたのだと思います。三つ子の魂百までではありませんが、いまでも僕はああいう塗りつぶし系の絵が好きです。

2016年12月30日 (金)

カフーを待ちわびて(原田マハ)

配偶者が図書館から借りてきてくれました。BOOKOFFにたいていおいてあるのにいままで買わなかったのは、なんとなく面白くなさそうだったから。のでなかなか読む気になりませんでしたが、せっかく借りてきてくれたからと思って読んでみたら、思ったよりは面白かったです。

この人の本はおおむねそうなんですが、展開が早い段階で読めてしまいます。割とわかりやすい形で、前フリ(設定の提示)があるので、「こうなるんだろうけど、そこにどう導いていくのだろう?」というところに関心の中心を持って読み進める感じです。結末が、尻切れトンボなのもどうかと思うし、最後の展開もやや「?」ではありますが、思いがけない「そうか、その手もあったか」もあるので、つまらなくはありませんでした。

映画されていて、話がぜんぜん違っているという話ですが、観てみようと思いました。ただ、どこでDVDなり配信なりされているのか、これから探さねばなりませんが。

2016年12月10日 (土)

「コルテスの収穫」を読み終えました。

矢作さんは、「収拾がつかなくなって書くのをやめたのかな?」と思っていましたが、もっと単純に書きたくなくなったんだろうなと思いました。飽きたんじゃないかと。

それにしても、相変わらず面白いと思いました。そして最高に絶好調なところで物語りは途切れ、そして永遠にその先は読めません。それがまたいいのでしょうが。

たぶん、僕が持っている中で一番難解な「あ・じゃ・ぱ(ん)!」をもう一度読み返そうかと思います。作者本人がネタばれしている通り、チャンドラーの「さらば愛しき女よ」の大まかなストーリーにのせて、古今東西の実在の人物が登場して偽戦後日本史を描くというものですが、あまりに奇想天外というか想定や期待を超えた内容なので、もう頭の理解リミッターを振り切ってしまい、「ああ、この作者は絶対天才だ」と納得させられます。

個人的に一番好きなのが、実につまらない部分ですが「首都高速富田林線」が登場するところ。富田林なんて、南河内の人しか知りませんよ。作者の知識の底の深さに感心します。

2016年12月 6日 (火)

ハッピー・リタイアメント(浅田次郎)

昨年のいまごろテレビ朝日のドラマ特別企画でやっていたやつの、原作を読んでみました。TVでそのままやるには不都合があったのか、いろいろ改変されていることがわかりました。どっちがいいかは難しいところで、どちらもそれぞれ面白いです。

原作のほうが深みがある内容で、その深みを映像化するにはTVのCM含めて139分では難しかったみたいなのと、老人キャラじゃ画面が映えないからか、登場人物がおおむね10歳以上若返っています。

初浅野次郎で、さすが人気作家だと思いましたが、でも、僕は矢作俊彦さんを知ってしまったから、あの面白さを100とすると23ぐらいです。それぐらい薄く感じました。恐るべし、矢作俊彦。

2016年12月 4日 (日)

コルテスの収穫(矢作俊彦)を読み始めました。

上・中巻のみ発売されて、「下」はいつ出るのかとファンをやきもきさせたまままもなく30年が経過する、矢作俊彦さんのいわくつきというか因縁の一作を読み始めています。


本人が「本当に申し訳ないと思うんだけど、あれは売った瞬間からもうつづきは書きたくなかったんです。書かないで捨てようと思っていた原稿なんですが、不意をつくように3人目の子供が生まれて、書きかけの小説を売り飛ばす以外に生きる術がなかったんです。その子供もすくすく育って高校2年になりました。下巻を読めない人は、ひとりの人間を救うための寄進をなさったと思って、我慢してください(BOOKアサヒコムより)」と言っているから、もう続きを読めないこと確定なんですが。いまさら30年前の気分(時代背景や情勢)に戻って書けるわけもなし。

まだ全体の30%ぐらい読んだところでしょうか。
しかしながら、すでにかなり面白いです。内容もさることながら、文章が最高です。でも、この先どんどん風呂敷を広げていって、収拾がつかなくなりそうな予感がします。永遠の未完のほうが、無難だと思わないでもありません。

2016年12月 3日 (土)

浪花少年探偵団(東野圭吾)

おなかが痛くて熱発39度で寝ているときに配偶者が図書館から借りてきてくれた中の1冊。売れっ子作家なのは知っていましたが、中学高校生が読むものという印象が強くて、今まで読んだことはなかったです。

その先入観のせいか、どうもあまりいい印象は持てませんでしたが、これを原作にしてアニメなり映画なりドラマにすると面白いだろうとは思いました。「しのぶ先生」という容姿端麗だけど気が強くて口が悪くて雑な小学校教員が、「じゃりン子チエ」のチエちゃんのその後みたいだという意見には同感です。好きではないけど、ドラマの登場人物としては魅力的でしょう。

たぶんもう二度と読まないタイプの作家(作品)でしたが、人気があるのは納得できました。いちおう、続編があるらしいので、それは読んでみようかと思います。

2016年12月 2日 (金)

小説 君の名は。(新海誠)

映画は公開翌日に鑑賞済みですが、原作だという小説版を読んでみました。「映画を見ていてわかりにくい設定などが小説版ではわかる」ということは、映画を見たあとすぐ各種評判・レビューを見て知っていたし、それを見て「わかりにくい設定」というものもすでに知っていたのですが、そういうことを抜きにしても、映画のほうがよいと思いました。

文章にしてしまうとあの映画のよさは伝わらない。逆に「なんじゃ?」と思うような部分というかアラみたいなものが見えてきます。「何でそうなるのかな?」というような不自然さというか。具体的にいうと、時間を越える部分の描写が映画だと自然に受け入れられたけど、小説版では何か違和感がありました。それが文章力のせいなのか表現力のせいなのかわかりませんが。

だから、設定として1,200年周期で隕石が落下するという部分が、映画を見たあと「情報」として聞けば「ああなるほど、そういうことね」と思えなくもありませんでしたが、文章で読むと「なんとご都合主義な」と違和感が生まれるかもしれません。僕は知っていたから何とも言えませんが。

小説家ではなく、映像クリエーターとかアニメーション作家だから、やはり文字ばかりの「小説」として読んでしまうと少し物足りないということでしょうか。宮崎駿さんも、さすがに小説は書いてませんから。

2016年10月20日 (木)

ちょんまげぷりん(荒木源)

日曜日の朝、いつものように4時に起きて、新聞が届くのを待って朝食を食べながら新聞を読み、することがないから食卓テーブルの上においてあった、次男が図書館から借りてきた「ちょんまげぷりん」を読んでみました。

江戸時代の武士が現代に現れて、世の中からドロップアウト寸前のシングルマザーの母の成長を助けるというようなお話。こういうタイムスリップものはあまり読まないようにしているのですが、この本はタイムスリップの1点を除けば、面白かったです。そもそもタイムスリップしないと話が始まらないし、最後のオチも、ありがちだけどなかなかよかった。

僕は、武士になりたいとはまったく思いませんが、武士の生きかたには敬意を持っていて、だからといって滅私奉公なんかはまっぴらごめんですが、私欲よりは社会のためにどうあるべきかを考えて皆が行動しようとすべきだと思っています。つまり、尊法精神というか、ルールやモラルは守ろうと。僕は完全にルールやモラルで無視しているのは、速度規制ぐらいです。

そういうわけで、武士の安兵衛さんの言うことが、いちいちもっともだなあと思ったのでした。子供は家事の手伝いをすべきだとか、ちゃんと出汁を取れとか(そんなことは言ってなかったかな?)。

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