今までいろいろな車に乗りましたが、今でも魅力的だと思うのがEK9のシビックRです。これでドアがあと2枚あって、リアワイパーがついていたらまた新車で買ってもいいと思うぐらい。それぐらいどこもかしこも魅力的な車なんですが、一番誰でもわかりやすいのがこの車のエンジンでしょう。
SiRのB16Aに数々の高回転対策(専用部品の採用や手作業のポート研磨など)を施すことで、1600ccの量産車としては十分高性能なB16Aの170ps/16.0kmgから185ps/16.3kgmまで出力を向上させ、8400rpmからレッドゾーンということになっていますが、実際にリミッターが働くのが9000rpm(以上)で、そこまでまったく問題なくシュイーンと回ってしまいます。ギア比がベースのSiRとまったく共通なのですが、例えば8400rpmでシフトアップすると、1→2速の場合VTECが一瞬低回転側に入ってしまってもどかしいのですが、9000rpmまで引っぱると全ギアVTECが高回転側のままでシフトアップできるんですね。
VTECが低回転側のときブーンと普通の音をたてていたのが、高回転側になるとまったく別世界の機械的な音を文字通り撒き散らしながら、パワーもレスポンスもまったく変わります。高速道路を3速と4速を切り替えながら走っていると、もうこのままどうなってもいいような気持ちになります。麻薬ですね。
山道では2速(と3速)になりますが、実はあまり面白くありません。そもそもサーキット用の固い足(特に後ろが固い)のせいで、一般道だと跳ねちゃうんですね。高速道路でも、強いブレーキを踏むと路面のうねりでリアが不安定になるぐらいですから。そこで、トラクション能力は十分なので、立ち上がりを楽しむことになるのですが、そうすると2速に入れたままでVTECの切り替わりを楽しむ方向に興味が移ります。それはそれで面白いのですが、やっぱり変速(シフトタップ・シフトダウン)も楽しみたい。
僕自身クローズドなサーキットは未経験ですが、ノーマルのままだと油温が上がってしまう(オイルが加減速と左右のGのため、オイルパンの中で偏ってしまうから)ので、1周限りのタイムアタック的な走りをすることになるそうですが、足がエンジンに比べて速い(余裕がある)ので、何をやっても安心というか好きなように姿勢を変えられて、サーキット走行の練習にはぴったり(オイルパンにバッフル加工し、できればオイルクーラーをつけるとあとはノーマルのままで十分走れるそうです)だし、それはそれで面白いそうです。
それにしても、鈴鹿工場の大量生産のラインの脇で手作業のポート研磨とコンロッドのトルク管理を1機1機熟練工の方が行っていたという、1日にたったの50台しか作れない本当に手作りのエンジンで、この車を買うときに販売店の人から「そのことを理解し、本当に欲しい人だけにしか買ってほしくありません」と言われました。客に対してなんという強気の態度かと思うところですが、そういう車があってもいいじゃないですか。200万円で買えるフェラーリやポルシェみたいなものかもしれません。
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