ホンダ・S-MX
走るラブホテルと揶揄された、2列シートのコンパクト・ミニバン。シートを倒すと段差がないフルフラットになり、大きさがちょうどダブルベッドぐらい。それで枕元の位置にティッシュ入れとベッドサイド照明があるという、ちょっとやりすぎなくらい下品な車でしたが、メーカーとしては本気ではなく面白半分にやったのだと思います。
そういう部分に目をつぶって車としての成り立ちを考えると、全長4m未満で2列シートの箱型ミニバンというのは、現行車種でいうならトヨタ・ラクティスや日産キューブ、ホンダならモビリオ・スパイクの元祖にあたります。それらは最大で1500ccですから、S-MXの2000ccというのはかなり贅沢なスペックです。
とはいうものの、このB20Bというエンジン、ベースが北米向けシビックやインテグラのエンジンのB18Bで、B18Bは「踏んだ瞬間、ガッと出る」ことが求められる北米市場向けに使われていたことからわかるように、中低速からしっかりトルクが出ていて、ホンダらしく回せばスムーズにきっちり回ってくれる隠れた名作でした。これを元に「2000cc」というカタログを飾るスペックと、「シビックのエンジンルームに入るサイズ」を両立するために無理やりでっち上げたのがB20Bで、トルクはないしバランスシャフトがないから振動は出るしうるさいうえに回らないし燃費もよくないという、史上最悪のホンダエンジンというべきひどいエンジンでした。にもかかわらず、初代ステップワゴン・S-MX・オルティア・CR-Vなど当時のシビックベースの2000ccにはすべてこれが載っていて、それぞれの車種がそれなりにヒットしたので、かなりの数が市場に出回ってしまいました。いま思えば、ホンダ車の市場での評価を落とした(ホンダもトヨタと変わらないじゃん)要因のひとつだと個人的には思っています。
主に僕の弟が大学生のとき乗っていましたが、きっちり3年目の車検を前に、インサイトの下取りに出されてしまいました。考え方は面白いと思いますが、駄作エンジンと荷物が載らない(それよりベッドを優先した?)せいで、短命でしたね。
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